「求人を出しても応募が来ない」——宿泊業の採用は、今や全産業でもっとも厳しい環境にあります。この記事では、公的データで原因を整理したうえで、大幅な賃上げをしなくても応募を増やせる打ち手を7つ紹介します。
データで見る宿泊業の人手不足
- 宿泊・飲食サービス業の有効求人倍率は2.5倍超(2025年、全産業平均1.2倍の約2倍)
- 旅館・ホテルの約6割が正社員不足、約5割がパート・アルバイト不足と回答
- 宿泊・飲食の平均賃金は全産業で最低水準、有給取得率も最下位クラス(観光庁の実態調査より)
つまり「待遇のイメージが悪い業界で、2倍の競争率の採用戦争をしている」のが現状です。だからこそ、求人の見せ方と働き方の設計で差がつきます。
打ち手1: 求人票に数字を入れる(費用ゼロ・即日)
応募が来ない求人票の典型は「アットホームな職場です」「やりがいがあります」。求職者が知りたいのは具体的な数字です。
- ✕「残業少なめ」→ ○「残業月平均8時間」
- ✕「英語が活かせる」→ ○「宿泊客の7割が海外のお客様。フロント会話の6割が英語」
- 給与は幅ではなくモデル月収(基本給+手当の内訳)で書く
打ち手2: 中抜けシフトを見直す
仲居・客室係の離職理由の上位が中抜け勤務です。「通し勤務+交代制」に変えた旅館では応募・定着とも改善する事例が増えています。全面変更が難しければ「中抜けなしシフト選択可」と求人票に書くだけでも差別化になります。
打ち手3: 語学手当で「安い賃金」の印象を変える
基本給を大きく上げられなくても、「TOEIC700点以上: 月1万円」「中国語接客可: 月1.5万円」のような語学手当の明示は、語学人材への訴求力が高い割に総人件費への影響が小さい施策です。
打ち手4: 外国人材の受け入れを整える
インバウンド対応と人手不足を同時に解決できるのが外国人材です。宿泊業で雇用できる主な在留資格は以下のとおりです。
| 在留資格 | 特徴 |
|---|---|
| 特定技能「宿泊」 | フルタイム。試験合格者。2号移行で長期雇用も可能に |
| 技術・人文知識・国際業務 | 大卒等。外国語を使う業務が条件 |
| 留学(資格外活動) | 週28時間まで。繁忙期の戦力に |
| 永住者・定住者等 | 就労制限なし |
受け入れの実務は在留資格チェックリストにまとめています。
打ち手5: 寮・食事付きを前面に出す
都市部の家賃高騰で「住み込み」の価値が再評価されています。「個室寮・月1万円・食事付き」は、実質的な可処分所得では月給+3〜5万円に相当します。求人タイトルに入れる価値がある情報です。
打ち手6: 採用チャネルを特化型に変える
総合求人サイトでは、宿泊業の求人は膨大な求人に埋もれます。語学人材・観光業志望者が集まる特化型媒体のほうが、応募の質・量とも改善しやすくなります。あわせて語学人材に響く求人の書き方も参考にしてください。
打ち手7: 省人化(DX)で「必要な人数」自体を減らす
セルフチェックイン、配膳ロボット、多言語AIチャットの導入で、接客の付加価値が高い業務に人を集中させる施設が増えています。「採用を増やす」と「必要人数を減らす」は両輪です。
まとめ
人手不足の根本原因(賃金・労働環境)から目を逸らさないことが大前提ですが、求人票の書き方・シフト設計・外国人材・採用チャネルは、今週から変えられます。
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よくある質問
Q. 外国人を採用したいが、何から始めればいいですか? A. まず自社で対応できる在留資格を決め、求人票に明記することです。在留資格チェックリストから始めてください。
Q. 小規模旅館でも特定技能人材を雇えますか? A. 雇えます。自社での支援が難しい場合は登録支援機関に委託するのが一般的です(委託費の相場は月2〜3万円/人程度が目安)。